投稿した人:谷本憲司/神戸 on April 15, 2003 at 04:42:09:
【敬語というもの】
別段相談を持ちかけたわけでもない。そんなことは思っても見なかったことだった。阪神淡路大震災の前のことだから、かなりの年月が経った話である。
たまたま私は所属の税理士団体のために、「入会案内」を起草したことがあった。その文中に「ご入会をお勧めします」とした個所があった。いま考えてみても、とりたててどうこう問題になる文章でない。
ところが、これにクレームがついた。電話がかかってきたのだ。電話の主の言うことには、「ご」と「お」が敬語として重なっているのは良くない。だから、「ご入会を勧めます」か、または「入会をお勧めします」にしなければならない、と。そして、「ぼくは俳人ですから」と、これは、なんだかクレームの補強らしかった。私は、即座に「入会をお勧めします」を選んで、相手の添削に応じた。これで、この話は終わったのだが…。
去年のことだが、この税理士団体では、パンフレットを作った。会の趣旨やら活動紹介などの記事内容のものである。やはり、入会をすすめる一行があった。読むと「ご入会をお勧めします」とある。「ご」と「お」が重なっているのである。
この場合の「一行」にある「ご」は相手語であり、「お」は自分語と言うべきものだ。敬語としての重なりが誤りかどうかについて言えば、誤りではない。しかし、「重なり」があることもまた事実なのである。
言葉づかいも、時代による変遷があり、個人の成育歴などの影響もあって、一概には言えない。もっとも、私といえば、いまだに「ご入会をお勧めします」派なのである。






